公衆浴場における水質検査(広島県)


 近年、水資源の有効利用を目的とした循環式浴槽やジャグジー風呂等を備えた浴場が増加し、全国的に浴場におけるレジオネラ症の集団感染が発生しています。平成14年10月、厚生労働省からは公衆浴場及び旅館を対象とした条例及び規則を策定する際の技術的助言として、「レジオネラ症発生防止対策の指針」が各自治体あてに通知されています。
 広島県においては、レジオネラ症の発生を防止するため、公衆浴場法施行条例,旅館業法施行条例が改正され、平成15年4月1日から施行されています。このなかで営業者が衛生上守らなければならない必要な基準が定められています。  特に水質検査の実施について下記のように定められています。


水質検査の実施 内容
〇 水質検査 ・1年に1回以上:

水道水以外の水を使用した原湯,原水,上り用湯及び上り用水並びに毎日完全換水している浴槽水

・1年に2回以上:

連日使用している浴槽水(塩素消毒の場合)

・1年に4回以上:

連日使用している浴槽水(塩素消毒でない場合)

〇 水質検査項目等

レジオネラ属菌,大腸菌群

〇 検査結果の掲示

脱衣室その他入浴者が見やすい場所に掲示

〇 検査結果の保管

検査の日から3年間保管


検査項目 水質基準 検査方法

レジオネラ属菌

検出されないこと
(10CFU/100mL未満)

冷却遠心濃縮法又はろ過濃縮法

大腸菌群(浴槽水)

1個/mL以下

デソキシコール酸塩培地法

大腸菌群(原湯,原水,上り用湯,上り用水)

50mL中に検出されないこと

乳糖ブイヨン-ブリリアントグリーン乳糖胆汁ブイヨン培地法又は特定酵素基質培地法

公衆浴場法施行条例・旅館業施行条例 平成15年4月1日

 当社は環境分析や衛生検査を始め多くの実績を積んでまいりました。
 公衆浴場における水質検査についても万全の体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。

 最近では各地でレジオネラ感染事故が発生し、利用者も公衆浴場における衛生管理に関心を持ち始めています。今後は施設の大きさや話題性によるのではなく、適切な衛生管理によって利用者から選ばれる時代が到来しようとしております。
 レジオネラ属菌等の衛生検査を定期的に行い、自主的に公表をすることで利用者の信頼が得られると考えます。

レジオネラ属症とは

 レジオネラ属菌は,土壌や河川,湖沼(淡水)などの自然環境に生息しています。一般にその菌数は少ないと考えられます。
 お風呂の湯など20度以上の人工環境で,アメーバなどの原生動物に寄生し,増殖することができます。


レジオネラ症とは

レジオネラ症は,レジオネラ属菌に感染しておきる病気です。

[1]

レジオネラ症は,「レジオネラ肺炎」と「ポンティアック熱」の2つに分けられます。レジオネラ肺炎は,日を追って症状が重くなり,発病後1週間くらいで死亡する場合があります。

[2]

レジオネラ肺炎は,健康な人でもかかりますが,乳幼児や高齢者,病人など抵抗力が低下している人などがかかりやすいといわれています。

[3]

レジオネラ属菌に汚染された浴槽水のエアロゾル(目に見えない微小な水滴)を吸ったことにより感染した事例が多く報告されています。


区  分 レジオネラ肺炎 ポンティアック熱
主な症状

高熱,悪寒,筋肉痛,呼吸困難,
全身倦怠感,下痢,意識障害

発熱,寒気,筋肉痛(インフルエンザに似た症状で,肺炎にならない)

特  徴

急激に重症になり,死亡する場合もある。

一般に軽症で,数日で治ることが多い。


レジオネラ属感染経路は
[1]

レジオネラ属菌が人の体に付着し、または土埃と共に浴場内へ持ち込まれる。

[2]

入浴により浴槽水が汚染される。

[3]

循環ろ過配管、ろ過器等の生物膜(ぬめり)の中に住むアメーバ内にて、レジオネラ属菌が増殖する。

[4]

レジオネラ属菌がアメーバの体を食い破って外へ出る。

[5]

この時、浴槽水、打たせ湯、気泡発生装置などにより空中に分散した微粒子の中にレジオネラ属菌が入る。

[6]

この空中に分散した微粒子を人が吸入することでレジオネラ肺炎を発症する。



当社では、公衆浴場の水質検査と情報開示、
さらには衛生管理までをサポートいたします。

Dec.2004 [04KB0004]