ヒスタミン検査のご案内

その魚!温度管理、品質、大丈夫ですか?

 水産加工業において、ヒスタミンはHACCPの衛生管理として危害要因の1つに上げられていることも多く、定期的な検査を行い品質管理の確認としてお役立て下さい。

ヒスタミンによる食中毒とは?

ヒスタミン食中毒は、ヒスタミンが高濃度に蓄積された食品、特に魚類及びその加工品を食べることにより発症する、アレルギー様の食中毒です。
ヒスタミンは、食品中に含まれるヒスチジン(タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種)にヒスタミン産生菌(例、Morganella morganii)の酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることにより生成します。
そのため、ヒスチジンが多く含まれる食品を常温に放置する等の不適切な管理をすることで、食品中のヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。
ヒスタミンは熱に安定であり、また調理加工工程で除去できないため、一度生成されると食中毒を防ぐことはできません。

食中毒の原因となる食品は?

ヒスチジンを多く含むマグロ、カジキ、カツオ、サバ、イワシ、サンマ、ブリ、アジなどの赤身魚及びその加工品が主な原因食品として報告されています。

ヒスタミンによる食中毒の予防方法と対策

一度生成されたヒスタミンは、調理時の加熱等では分解されません。
そのため、ヒスタミン産生菌の増殖と酵素作用を抑えてヒスタミンを生成させないようにするため、原材料(魚の場合には死んだ瞬間から)から最終製品の喫食までの一貫した温度管理が重要です。

(厚生労働省ホームページより抜粋)

ヒスタミン検査

検査項目検査方法検体量下限値
ヒスタミン高速液体クロマトグラフ法100g以上0.5mg/100g

※生魚などの検体を常温で提出されるとヒスタミンの生成が進む恐れがありますので、検体を提出される際は冷凍でのご提出をお願い致します。

Codex及び諸外国の基準値

国など基準・規制内容
日本国内での規制値はない。
国際機関
Codex委員会
・マグロ、イワシ等の缶詰や急速冷凍水産加工品等
  腐敗基準:検体のヒスタミン濃度の平均値が100ppmを超えないこと
  衛生及び取扱基準:検体のヒスタミン濃度がいずれも200ppmを超えないこと
・魚醤
  衛生及び取扱基準:検体のヒスタミン濃度がいずれも400ppmを超えないこと
EUヒスチジン含有量が多い魚類由来の魚介類食品
・1ロット当たり9検体について検査を行い、以下の基準で判定
 ① 全ての検体の平均値が100ppmを超えない
 ② うち2検体は100ppm以上200ppm未満でも可
 ③ 全ての検体が200ppmを超えない
ヒスチジン含有量が多い魚類を塩水中で酵素による熟成工程を経た魚介類製品(魚醤を除く)
・1ロット当たり9検体について検査を行い、以下の基準で判定
 ① 全ての検体の平均値が200ppmを超えない
 ② うち2検体は200ppm以上400ppm未満でも可
 ③ 全ての検体が400ppmを超えない
魚醤(魚介類製品の発酵によって得られた液体)
・1バッチ当たり1検体について検査を行い、400ppmを超えない
米国・腐敗しているか否かを判断するための基準
  マグロ、シイラ:少なくとも2検体でヒスタミン濃度が50ppm以上
  マグロ、シイラ以外の魚:少なくとも2検体でヒスタミン濃度が50~ 500ppm
・健康への有害影響:1検体が500ppm以上
カナダ・アンチョビー、魚醤、発酵させた魚ペースト:200 ppm
・その他魚類及び魚製品:100 ppm
オーストラリア/
ニュージーランド
・魚及び魚製品中のヒスタミン濃度の上限値:200ppm

表に示した単位についてはppm単位として統一しています。

参考資料

厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」
内閣府食品安全委員「ファクトシートヒスタミン」

検査のご依頼は
弊社ホームページの【お問い合わせフォーム】又はTELにて【食品衛生事業部】までお問い合わせください。

Feb.2022 [21SY0002]