有機フッ素化合物(PFOS及びPFOA)分析のご案内

 有機フッ素化合物であるペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)は、ヒトへの健康への影響評価は各国・各機関で調査段階ではあるものの、国内外において製造、使用等が規制されています。


■PFOS 及び PFOA の性状・用途

PFOS 及び PFOA は化学的に極めて安定性が高く、水溶性かつ不揮発性の物質であるため、環境中に放出された場合には、水系に移行しやすく、また、難分解性のため長期的に環境に残留すると考えられています。撥水性と撥油性を併せ持つ特異な化学的性質としても様々な表面処理の用途に使われてきました。

例えば、このような場面で使われてきました

フライパンの表面加工 泡消火薬剤 防水スプレー 電子基板

※フライパン等にPFOAはほとんど残存していないこと、また、フライパン等を適切に使用した場合にはリスクがないことが確認されています。

■水道水及び環境水に係る目標値等

水道水:令和2年3月30日付け厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知「水質基準に関する省令の一部改正等について(施行通知)」により、水質管理目標設定項目としての目標値(暫定)が 50ng/L(PFOS 及び PFOAの合算値)に設定されました。また、令和3年4月にはペルフルオロヘキサンスルホン酸( PFHxS )が要検討項目に追加(目標値の設定はなし)されています。

環境水(公共用水域及び地下水):令和2年5月28日付け環境省水・大気環境局長通知「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)」により、要監視項目としての指針値(暫定)が、50ng/L(PFOS 及び PFOA の合算値)に設定されました。

排水:令和4年12月23日付け政令第 396 号「水質汚濁防止法施行令の一部を改正する政令により、PFOS 及びその塩、PFOA 及びその塩が指定物質として追加されています。水質汚濁防止法に基づき、指定物質を製造等する施設を設置する工場等の設置者には、事故により指定物質を含む水が排出された場合等の応急の措置及び都道府県知事への届出が義務付けられています。

■分析方法(固相抽出―液体クロマトグラフ―質量分析法)

水道水:平成15年10月10日健水発第1010001号 別添4「水質管理目標設定項目の検査方法」

環境水(公共用水域及び地下水):環水大水発第2005281号環水大土発第2005282号付表1「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)」

分析の流れ

試料採取

分析に必要な検水量は500mLですが、予備を含め3本必要となります。採水容器にはガラス製のものの使用を可能な限り避けます。
採水器具(バケツ等)はフッ素加工されたものの使用を避け、使用前にメタノールで洗浄します。

固相抽出

試料中のPFOS、PFOAを固相カラムに吸着させた後、メタノールを用いて溶出させ、一定量に定容し機器測定用試料とします。

PFOS、PFOAは分析操作中に試料に混入する可能性が高い物質であるため、空試験を毎回行い、検査結果に影響を及ぼさないことを確認します。

液体クロマトグラフ―質量分析計による測定

機器測定用試料を、液体クロマトグラフ―質量分析計により測定します。測定後のデータを解析・定量し、その結果をもとに報告書を作成します。定量下限値はいずれも0.3 ng/L(PFOS 及び PFOA の合算値)ですが、試料の状態等によって定量下限に達しない場合があります。

PFOS、PFOAの分析は当社に御依頼ください。

May.2023 [23KB0002]