アベハゼは、汽水域に生息する大きくて3cm程の小さなハゼの仲間です。ハゼの仲間は、体の形が円筒形や平べったいものが多く、おそらく水底で生活するのに適応しているものと思われます。淡水域では、ドンコやヨシノボリの仲間ぐらいしか見られませんが、汽水域には、本種以外にも多くのハゼ類が生息しています。本種の特徴は、頭部が丸く体の前半部が横縞(背骨に対して垂直な向き)の筋があり、体の後半部が縦縞(背骨に対して平行な向き)の筋があるといった変わった模様をしていることです。ただし、体色が濃くなったり薄くなったりするので見えにくくなる場合もあります。本種は、他の魚がすめないような川岸の水たまりや生活排水のヘドロの中などで見つけられることがよくあります。これは劣悪な環境に耐えうる独特の排泄機能を持つためといわれています。普通、川は汚さないでとよく言われていますが、人間が川を汚すことによってちゃっかり生息域を拡大しているかもしれない生物がいたりするのですね。

2010年11月5日